競売における売却許可の取消について

期間入札の公告

今年の年末は例年と比べてあまり忙しくなく、ていうか結構ゆとりがあるのですが、それはそれでなんか落ち着きません。 忙しすぎるのも暇なのもどちらもいやです。適度に楽しく仕事がしたいものですね。(^^)


さて、本日は競売の話です。売却許可の取消というと語感的にはせっかく落札できたのに取り消されてしまう感じですが、そうでなく落札したけど取り消してもらう方の話です。

ご存知のように競売は通常取引されている物件と異なり、原則的にはノークレーム・ノーリターンが前提となります。落札した後に不具合が見つかっても保証は有りません。すべてのリスクを落札者が負うのが原則です。

裁判所の競売説明書には次のように記載されています。

買い受けた物件に何らかの欠陥があっても, 売却の取消しや損害賠償請求ができないケースが多く, 仮にできるケースでも訴訟等が必要となるなど困難を伴う。

これらは, 総合して競売市場修正( 減価) として, 売却基準価額の決定に当たり考慮しております( その前提として評価書上も考慮されています。)。

入札者はリスクを負うので物件を安く買えるチャンスが出てくるわけですで、買受人となるとすべてのリスクを引き受けなければなりません。しかしながら、この保証は無いです、というのにも例外は有るというのが今日の話です。

リスクを計算

競売では一般的に物件への立ち入りや建物の内見ができませんので、3点セット(物件明細書、現況調査報告書,評価書)が入札を判断する上で重要な情報となります。

そして、この物件明細書や現況調査報告書に大きな間違いや記載漏れがあったような場合は,入札の判断の前提が崩れてしまいます。さすがにそうなると入札者は不可抗力だということで、裁判所側に責任が発生してきます。

手続き的には、裁判所の作成した物件明細書に重大な間違いがあると判明した場合は、執行抗告ができます。そこからは裁判所の判断になるのですが、一度決定した売却許可決定の取消と、売却不許可決定がされる場合があります。ただしあくまでも「重大な」誤りがあった場合に限ります。

期間入札の流れ

具体的に見てみましょう。現在入札中の「横浜地方裁判所本庁 H30ケ206」の物件です。横浜市金沢区の戸建です。

この物件は2019年1月に入札が実施されて、売却基準価額6,870,000円に対して10,090,000円で落札されました。

間取図

しかしながら現在、再度入札が実施されています。 (入札期間 2019/12/03 ~ 12/10)

これはなぜ?かということなのですが、この事件の三点セットには補充評価書というのが添付されていてそこに次の様な記述が有ります。

前回の期間入札の買受人から本件建物は1000分の12.8の勾配が生じていることが判明したとして売却許可決定取消申立てがなされ、同申立が認容されたこと。

補充評価書

特に法律で決まっているわけではないのですが、一般的に中古住宅だと傾きの許容範囲は 6/1000 以内という基準が有ります。これは品確法の「住宅紛争処理の参考となるべき技術基準」で「住宅や地盤に瑕疵がある可能性が高いとされる」に該当します。

この 6/1000 以内と比べて本物件の建物の傾きは 12.8/1000 なので2倍以上です。ちなみに国が定める大震災での家の傾きによる「家屋の被害認定基準」では、 12.8/1000 だと「半壊」と認定されるそうです。

建物の傾きは、人によってはめまいや頭痛などの健康被害を及ぼすことがあります。

傾いた家

この建物の傾きを知るには建物内に入らなければなりませんが、競売物件なので建物内部に入れません。なので現況報告書や評価書などに記載が無いと判断のしようがありません。

というわけで、確かに傾きで建物が使えないかもしれないという事実が裁判所の資料から抜けているというのは重大な誤りと言えそうです。建物の傾きは敏感な人だとわずかでも感じてしまうそうですが、本事件の評価人は傾きに鈍感な人だったのかもしれません。

ちなみに「重大な」誤りには、このような建物の瑕疵の他にも心理的な瑕疵も認められているそうです。たとえば自殺や殺人事件があったりとか、反社会勢力の事務所だったとかが裁判所の資料から抜けていた場合です。


ところで今回の入札では売却基準価額は前回の6,870,000円から1,710,000円へとぐっと下がりました。さてどうなることでしょうか?

ちなみに土地は斜面で道路面よりも低くなかなか厳しい感じです。工事などやるにしてもコストが通常より嵩む可能性があります。

建物

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