無事に年が明けて2022年になりましたが、特に大きな変化はまだ無い様ですね。コロナは相変わらずですし。
変化が無いと平穏な気持ちで過ごせますが、チャンスはたぶん変革期に発生するんだと思います。その時に備えて準備を怠らないようにしましょう。
具体的には手元のキャッシュを少しでも増やしておく事が大事です。
今月の事例研究は、区分マンションで実勢価格と競売の売却基準価額の乖離を検討してみます。
売却基準価額の算出方法
まず最初に競売の売却基準価額の算出方法です。
売却基準価額のベースとなる価格の算出方法は次の3つが有ります。
・積算価格(土地値と建物の建築費から算出)
・比準価格(類似物件の取引価格から算出 )
・収益価格(賃貸等の場合の収益から算出 )
※各計算の手順は3点セットの評価書に詳しく記載されています。
物件の種類などにもよりますが上記の方法の中から、その物件にマッチする方法を選んで算出します。
さらに、そこに競売特有のリスクなどの各種補正係数を入れて売却基準価額は決定されます。
売却基準価額を算出する際には、複数の方法(例えば積算価格と収益価格とか)を採用する場合が多くあります。
その場合はそれぞれの方法で算出された価格に、物件の特性に応じた重みを付けて加重平均を出したりします。
実勢価格と売却基準価額の乖離の要因
ところで、我々不動産業者が売出価格を考える場合は、どうしても比準価格に偏ります。
これは物件の本質的な価値がどうであれ、実際に取引を成立させることを第一に考えるからです。
ニュースとかでもよく聞く「説明の付かない価格」ってやつもそうですね。
そしてここの所ずっと、首都圏では比準価格が積算価格と収益価格を上回っています。
なので積算価格や収益価格を平均に入れて算出した売却基準価額は、どうしても比準価格に偏った実勢価格よりも低くなってしまいます。
これが実勢価格と売却基準価額の乖離の要因の一つです。
売却基準価額と実勢価格の例
実際に、競売物件の売却基準価額と実勢価格の例を見てみましょう。
3点セットをお手元にご用意されるとわかりやすいと思います。BIT(不動産競売物件情報サイト)などで事件番号から検索してみて下さい。
(1)ヒルトップ横浜
・売却基準価額:621万円
・実勢価格:1,070万円(2020年11月2日成約、5階、リノベ済)
[裁判所・入札情報]
・横浜地方裁判所本庁 R03ケ272
・入札期間:2022/02/15 ~ 2022/02/22
・売却基準価額:6,210,000円
[物件情報]
・種類:区分マンション
・所在地:横浜市神奈川区台町13番地
・交通:各線「横浜」駅 徒歩8分
・専有面積:15.67㎡ ※登記簿(内法)
・建物構造:RC造地上9階建/3階部分
・総戸数:54戸
・間取り:1R
・管理費:4,973円
・修繕積立金:3,291円
・築年月:1993年4月
・現況:所有者占有中(空室)
(2)サンマリーナ新子安
・売却基準価額:928万円
・実勢価格1:3,150万円(売出中、11階、R1リフォーム済、家具付)
・実勢価格2:1,980万円(2020年3月20日成約、4階)
[裁判所・入札情報]
・横浜地方裁判所本庁 R03ケ273
・入札期間:2022/02/15 ~ 2022/02/22
・売却基準価額:9,280,000円
[物件情報]
・種類:区分マンション
・所在地:横浜市神奈川区子安通三丁目360番地1
・交通1:JR京浜東北線「新子安」駅 徒歩6分
・交通2:京浜急行「京急新子安」駅 徒歩6分
・専有面積:47.57㎡ ※登記簿(内法)
・建物構造:SRC造地上11階建/4階部分
・総戸数:91戸
・間取り:2LDK
・管理費:15,390円
・修繕積立金:4,000円
・築年月:1986年6月
・現況:賃貸中(賃料100,000円、サブリース)
(3)グリフィン横浜・戸部駅前
・売却基準価額:1,059万円
・実勢価格:1,400万円(2018年2月10日成約、11階、オーナーチェンジ)
※成約日が古いので現在の実勢価格はもう少し高い可能性が有ります。
[裁判所・入札情報]
・横浜地方裁判所本庁 R03ケ238
・入札期間:2022/02/15 ~ 2022/02/22
・売却基準価額:10,590,000円
[物件情報]
・種類:区分マンション
・所在地:横浜市西区戸部本町45番地1
・交通1:京浜急行「戸部」駅 徒歩1分
・交通2:各線「横浜」駅 徒歩12分
・交通3:ブリーライン「高島町」駅 徒歩4分
・専有面積:20.66㎡ ※登記簿(内法)
・建物構造:SRC造地上11階建/9階部分
・総戸数:43戸
・間取り:1K
・管理費:9,600円
・修繕積立金:1,800円
・築年月:2005年7月
・現況:賃貸中(賃料70,980円、サブリース)
ぱっと見て分かるように、実勢価格と売却基準価額に大きな差が有ります。この部分が競売物件の妙味です。
落札価額は多くの場合で売却基準価額と実勢価格の間で決まります。
人気が高くやリスクが少なそうな物件は実勢価格に近づいてきます。そして売却基準価額はその物件の本質的価値に近い価格です。
話はちょっと代わりますが、区分マンションの場合の入札価額は修繕費や滞納管理費、また占有解除が必要な場合はそれらの費用を考慮して決めることになります。
その見積もりの精度、あるいは不確定要素に対する許容度が落札できるかどうかの大事なポイントになってきます。
最初の内はどうしても過剰に安全側で考えてしまいがちですが、特に人気の出そうな物件はある程度思い切って行かないと落札は難しいのが現状です。
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その際には、物件が決まっていなくても大丈夫です。自己居住用、投資用など、お客様それぞれのスタンスに応じてご説明いたします。
もし、実際に検討される物件が決まっているのであれば、その物件を例にとり、確認しておくべきポイントなどご説明いたします。
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