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競売事例研究 江の島一丁目戸建

江ノ島

景気の先行きはまだまだ不透明ですが、物件の価格に大きな動きはまだ無い様です。不動産の相場は景気の動向に連動しますがやや遅れて動く傾向があります。
こういう時こそ自分なりの基準をしっかりと持っておくことが大事だと思います。


さて、今月の事例研究は何故かお問い合わせのとても多い江ノ島の戸建です。

場所は湘南を代表する観光地のひとつである江ノ島のど真ん中。マイホーム、賃貸、宿泊施設など夢は広がりますね。w

この土地付きの戸建が売却基準価額でなんと214万円です。安いですよね。ちょっとした貯金で買えそうです。(214万円ではたぶん落札できないでしょうけど)

ちなみに江ノ島の人口は354人(2018年)だそうです。

江ノ島一丁目戸建の外観

まずは物件の概要です。

【江の島一丁目戸建】

[裁判所・入札情報]
・横浜地方裁判所本庁 令和01年(ケ)第462号
・入札期間:2020/07/28~2020/08/04
・開札期日:2020/08/11
・売却基準価額:2,140,000円

[物件情報]
・種別:戸建
・土地権利:所有権
・所在地:藤沢市江の島1丁目5-17
・交通1:小田急江ノ島線 片瀬江ノ島駅 1.2km
・交通2:江ノ島電鉄線 江ノ島駅 1.34km
・土地面積:46.28平米 ※登記簿
・用途地域:商業地域 / 第一種住居地域
・建ぺい率:80% / 60%(風致地区により40%)
・容積率:400% / 200%(道路幅員による制限有り)
・建物構造:木造スレート葺3階建
・床面積:1階30.02㎡ 2階30.02㎡ 2階16.56㎡
・間取り:4LDK
・築年月:1991年7月
・現況:所有者占有中

間取図

(1) 事前調査

さて、現地調査前の下調べで注意しておいた方が良いポイントをみてみましょう。

やり方もさわりだけですが書いておきますのでご自分で色々調べてみてください。ネットなどで調査できることは事前にできるだけ調べておくと現地調査が捗ります。

まず、基本の地図を見てみます。みんな大好きなGoogleマップとゼンリンの住宅地図です。それから都市計画などを見るのに藤沢市は「ふじさわキュンマップ」を見ます。

住宅地図を見ると途中階段が有るように見えます。たぶん自動車は侵入できないのではないでしょうか。建築も解体も部材が手運びになるとコストが高くなります。

Googleマップを見ると画像がはっきりしませんが、西側の崖の擁壁の状態が心配です。なお、現地は急傾斜崩壊危険区域に指定されています。

ふじさわキュンマップ

(2) 三点セット

次に裁判所の三点セットを見てみます。ざっとみて気になる点を下記します。

[再建築不可]
建築基準法上の道路に接道していません。平成3年の新築時は43条第1項但し書きの許可で建築したものと思われますが、現時点において再建築が認められるかどうかは藤沢市に相談が必要です。無接道なので基本的には再建築不可となりますが、許可してもらえるかどうかですね。

[違反建築]
建築確認を2階建で申請しているようですので現状の3階建は違反建築の可能性が高いです。藤沢市からの指導が有った場合、違反建築物と知らずに購入した場合であっても、現在の所有者等が違反を是正する必要があります。

[その他]
次のような記載が現況調査報告書に有ります。
「所有者としての名義を貸しました」
「ドアの上部の鍵穴が接着剤で埋められている」
真の所有者があいまいで、さらに何かいわくつきの物件の可能性も考えられますね。

現況調査報告書
現況調査報告書

(3) 入札価格など

一番気になるのは入札金額をどうするかですよね。

まず、土地として考えてみると、更地価格は評価書によると約408万円です。

そして建物ですが、当然修繕やリフォームが必要な状況だと思います。(建物は空き家のまま放置しておくと見る見る劣化していきますね)

流行りのセルフリフォームをお考えの方もいらっしゃると思います。ただ、本物件は3階建てなので十分に気をつけてください。

3階建ては2階建てよりも修繕など色々と大変です。業者に依頼するにしても2階建てよりコストがかかります。

昨年同じ感じの格安の戸建をセルフリフォームされていた弊社のお客様が、作業中に2階のバルコニーから誤って落下して結構大きな怪我をしてしまいました。自信や経験があまり無い方は素直に業者に頼んだほうが良いかもしれません。それなりの工具類も必要になってきますし。

修繕費なども合わせて金額を検討し、それが色々調べた分かってきたリスクに見合う金額なのかよく考えてみてください。

江ノ島一丁目戸建の外観

色々と懸念事項も有りますが、江ノ島のど真ん中の戸建が売却基準価額214万円です。

どのくらいの価格で落札されるのか分かりませんが、勇者はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、本物件のもう少し南側に建物が密集しているエリアが有ります。ここの同規模の昭和44年築の戸建が2,200万円で売り出されています。

江ノ島

2020年8月18日 追記

10,031,400円での落札です。売却基準価額の約4.68倍で法人の落札(入札数46)でした。やはり大人気だったようですね。


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