ギックリ腰になったみたいでつらいです。椅子に座ったまま上半身を捻って物を取ろうとした所に突然来ました。なんとか歩くことはできるのですが、初期のアシモみたいな感じになってしまいます……
さて今日はちょっと古めの一棟ビルを検討するときに注意しておきたいことです。
ご存知だと思いますが、建築物を建てる際には「行政の建築主事または民間の指定確認検査機関による審査や検査」を受けなければならない事となっています。
その具体的なステップとしては、「建築確認」→「中間検査」→「完了検査」というように進んでいきます。
最初の「建築確認」はまだ着工前の段階です。設計図書などの確認申請書を提出し、建築基準法等の基準に適合していることの審査を受けます。これで合格となると「確認済証」が交付されます。そしてこの「確認済証」が無ければ工事に着手できません。
工事が進行して無事完了した段階で「完了検査」を行います。これは着工前の「建築確認」と同じものがが完成しているかどうかの審査になります。問題が無ければ「検査済証」が交付されます。
このように、完了検査まで進み「検査済証」が交付されていれば、この建物は建築基準法に違反してないと証明できることになります。
なお、法律では検査済証の交付を受けた後でなければ、当該建築物を使用しまたは使用させてはならない。という事になっています。
しかしながら、よっぽど悪質でなければ特に指摘されることも無かったために、2000年くらいまでは半分以上の建物が完了検査をやっていませんでした。
ところで、「シャコテン」という言葉が有ります。(ちょうど先日現地調査に行った川崎の中古ビルがこのシャコテンでした)
これは関西の方で良く使われる言葉だそうで、たぶん「車庫転用」から来てるのだと思います。
やり方はまず、ビルやマンションなどの1階部分を駐車場とて申請書を作成し「建築確認」を受けます。で、建物が出来上がったらその1階部分を店舗や事務所にしてしまいます。申請時と異なる建物になるので完了検査は当然できません。すなわち「検査済証」は交付されていないことになります。
なぜそんなことをするかですが、これは収益物件として考えた場合に容積率ぎりぎりまで床面積を取りたいからです。駐車場の賃料よりも店舗や事務所の賃料のほうが高く設定できるので儲かります。
最初から1階部分を店舗や事務所で申請すれば良さそうなのですが、実は「駐車場は一定の床面積までは容積率の計算に参入しない」というルールが有ります。そのために、店舗や事務所で確認申請するよりも、駐車場にした方が延床面積の多いビルが建てられる事になります。そして結果的には容積率オーバーの違法建築状態になったりします。
要するに収益物件は貸すことのできる床面積は多ければ多いほどより儲かるので、完了検査をブッチしてもシャコテンするわけです。
これは関西地方で特に多かったらしいのですが、首都圏にもたくさんあります。平成初期のビルなどでよく見ることができます。
「検査済証」が交付されていて、建物の概要書の内容と一致していればたいてい大丈夫なのですが、「検査済証」が交付されていない物件は、建築確認申請後にどのように建物が完成したかを証明するものは無いことになります。シャコテンに限らず遵法性には注意が必要です。
もちろん完了検査を受けていなくても違法でない建物は沢山有りますが、検査済証が無いと融資が出にくくなったり、確認申請が必要な増改築や用途転用時などに苦労することになります。
物件を購入検討する際には遵法性という点も意識するようにしましょう。
ご相談はお気軽にどうぞ。
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