不動産コラム

不動産競売と公売の違い

競売と公売

ここ何年かで、不動産競売も一般的になってきました。
ネットや書籍など情報も多いですよね。

この競売と似たようなもので、公売というのがあります。

この公売というのは、所得税、相続税、贈与税などなどの国税を滞納したことにより、国税局や税務署に差し押さえられた不動産などを、入札方式で売却する制度です。

なんとなく競売と似ていますが、元になる法律が違います。
裁判所が行う不動産競売は「民事執行法」で、一方公売の方は「国税徴収法」に従って行われます。

具体的には、競売は債権者からの申立てにより裁判所が不動産の売却を行うのに対し、公売は滞納税庁が自ら滞納者の不動産を売却します。

以上は適用される法律の面からの違いですが、我々のように安く不動産を買いたい者たちにとって大事なポイントは次のような点です。

結論から言うと不動産競売の方が安心感が強いです。

裁判所の不動産競売は、上述のように民事執行法の従います。
この民事執行法は数々の改正を経て、色々な状況を想定して練られてきていますので、落札者にとても有利な法律となっています。

例えば、土地、建物で占有者がいる場合、競売だと強制執行命令を簡単に出してもらう事ができます。
一方、公売の場合は裁判をやって明渡しを求める必要があります。
これが何を意味するかというと、公売の場合の占有者の排除は、時間とお金が余計にかかる可能性が高いということです。

また、物件の資料なども裁判所の競売の方は詳細なものが有るのに対して、公売の方は簡単なものしか有りません。

まとめると、裁判所の競売は民事執行法という法律が神様で、各手続きまで細かく整備されているのに対し、公売の方は物件調査から引渡しまで「全部自分でやってね」ということで、明渡などで揉めた場合はいちいち裁判で解決するということになります。

そいいう感じなので、公売は敬遠しがちなのですが、もしかしたらここにお宝があるかもしれませんね。
リスクが無いとリターンも少ないのは世の中の道理です。


ところで競売や公売にかけられてしまった物件を借りている人の立場はどう違うのでしょうか?

競売の場合は、賃借人は引渡しを受けた時期が抵当権の登記より前であれば、落札者に対抗できるのでそのまま住んでいられますが、抵当権の登記より後に引渡しを受けた場合には建物を明け渡さなければなりません。(6か月の猶予期間があります)

公売の場合はこれと違って、差押の登記の日と賃借人の入居の日がどちらが早いかによって決まります。入居の方が早ければ、入居者はそのまま住んでいられますが、差押の登記の日以後に入居している場合は賃借人は、建物を明け渡さなければなりません。
いつ入居したかがとても大事です。

なんにしても公売で占有者のいるケースは注意が必要です。

 

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