不動産コラム

借地権存続の掲示板

建設予定地

晴れたり雨が激しく降ったり、雷が鳴ったりと変な天気ですね。これで一気に涼しくなると良いのですが。

暑さ寒さに弱いお年頃です。


さて、借地権存続の掲示板を偶然見かけました。本日はこの借地権の看板の話です。

借地権には、旧借地法と平成4年の新借地借家法の2種類ありますが、主に新借地借家法の話になります。

借地権というのは、文字通り借地人が地主さんにから「家を建てるために」土地を借りるという契約です。

そして借地権者の対抗要件は「借地権の登記」もしくは「借地上の建物の登記」になります。

すなわち借地権者は「借地権の登記」がなくても「借地上の建物を登記」していれば第三者に対抗できることになります。ただし、「建物の登記=借地権者の名義」でないとだめです。

対抗要件とは、当事者間で有効に成立した権利関係を、その当事者以外の第三者に対して主張するための要件の事です。

当然ながら借地権の登記は地主さんが嫌がりますので、ほとんどの場合で「借地上の建物を登記」で対抗要件としています。

横浜地方法務局

ここで重要なのは「借地上に建物が存在している事」です。

なので、火事や再建築などで更地になってしまった場合、その状態のままでは第三者に対抗出来ないことになります。

借地人と地主さんの間の契約は有効ですが、第三者に対抗出来ないということは、例えばその土地が誰かに売却された場合、第三者である新しい土地の所有者に借地権が主張できないという事になります。(建物が存在していればもちろん借地権は新所有者にも対抗できます)

建設用地

それでは困るということなのか、借地借家法10条に、建物が滅失した場合は滅失の時から2年間は建物を特定するための必要な事項や新たに建物を建築する旨をその土地の上に掲示することで第三者に対抗する事が可能、と書いてあります。 

なお、その掲示板が設置されていない時に現れた新たな所有者には借地権の対抗はできませんので、この掲示は非常に重要です。

実務的にこの掲示板の使い道で多いのは、建替えで一時的に更地になるような場合だと思います。

借地権存続の掲示板
借地借家法

(借地権の対抗力)
第十条借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
2前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。


最近は建替え以外でも、地震、台風、竜巻、洪水など自然災害も多いので、借地上の建物が滅失してしまった場合は注意が必要ですね。色々大変だとは思いますけど。

ところで、旧借地法の場合はこの説明とはまた少し違うのでまた機会があれば説明します。


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