ニュースを見ていると海外では紛争状態が日常になっている地域も多いようですね。
そんな中、わが国では令和4年から重要土地等調査法という法律が施行されています。
先日とある物件調査で調べていた所結構指定地域が増えていました。
重要土地等調査法とは?
重要土地等調査法というのは、安全保障上重要な施設や国境離島の機能を妨害するような土地や建物の利用を防ぐために制定された法律ということなのですが、私に関係している部分ですごく簡単に言うと国境付近の離島や自衛隊の基地の近くの土地を売買する時はと事前に届出が必要、という趣旨の法律です。

ちなみに法律の正式名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)」です。
まずは次の2つの区域が指定されます。
注視区域
重要施設(防衛関係施設等)の周囲おおむね1,000メートルの区域内及び国境離島等の区域内の区域で、その区域内にある土地等(土地及び建物)が機能阻害行為(重要施設や国境離島等の機能を阻害する行為)の用に供されることを特に防止する必要があるものを、注視区域として指定することとしています。
特別注視区域
また、重要施設や国境離島等の機能が特に重要、又はその機能を阻害することが容易で、他の重要施設や国境離島等によるその機能の代替が困難である場合は、注視区域を特別注視区域として指定することとしています。

指定されるとどうなるか?
気になるのは注視区域・特別注視区域に指定されたらどうなるの?ということですが、不動産売買には特に制約はありませんが、特別注視区域の場合は事前に届出が必要となります。
具体的には土地または建物で各階の床面積が200㎡以上のものが対象となり、契約の当事者が次の内容を内閣総理大臣に届け出る必要があります。
・当事者の氏名又は名称及び住所(法人にあっては、代表者の氏名)
・土地等の所在及び面積
・土地等に関する所有権等の種別及び内容
・土地等の利用目的
・譲受け予定者等の国籍等(法人にあっては、代表者が日本の国籍を有しない旨等)
・土地等の利用の現況
・契約予定日(事後届出の場合は、契約が成立した日)
200㎡と少ない面積で届出の義務が有りますので該当するケースは結構多いと思います。

不適切な利用
当然ながら、この法律は調査するだけではありません。
注視区域・特別注視区域の土地を利用して、基地の妨害(機能を阻害)をするような事などあれば、必要な措置をとるべき旨の勧告・命令を行うこととされています。
具体的には次のようなような事です。
・電波を発信して、自衛隊のレーダーの妨害となるような建物を建てる
・自衛隊の演習場を見通せる場所に、高層ビルを建てる
・国境離島等において、外国人が土地を取得し、軍事目的で使用されるおそれがある工作物を建設する

指定区域が増えてます
法律ができた頃は、それこそ国境近くの離島にしか区域は無かったイメージなのですが、次々と注視区域・特別注視区域に指定されいます。
私の普段の活動範囲である一都三県を見ても自衛隊基地のある周辺は軒並み注視区域・特別注視区域となっています。
横浜の方だと横須賀基地や武山駐屯地などがぱっと思い浮かびますが、それ以外の結構都心部にもぱらぱらと有ります。

ちょっと前に仲介した土地で、特別注視区域に指定されていたところが有りました。

不動産取引の現場としては面倒が一つ増えた感じですけど、国民の安全保障を守るためなので重要な法律だと思います。(法律作るのが遅すぎな感じもしますが)
よく日本はスパイ天国だとも言われていますが、なんとか平和を維持してほしいものですね。

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