がけ条例におけるがけの定義

大船駅付近

鎌倉市の戸建用地の現地調査に行ってきました。物件は大船駅までは平坦な徒歩圏でアクセスが良いです。駅までの道のりも商店が多く有り飽きません。

同じ距離を歩くにしても、周りに何もない所を歩くのとお店が立ち並んでいる道を歩くのでは体感分数?が随分違います。もちろん利便性もですが。

しかしながら神奈川県ではしょうがないのですが、良いなとか安いなとか思う場所はたいてい崖がや起伏が有ります。w

鎌倉市の擁壁

ということで、本日はがけ条例の話です。

がけが有ると何がいやかというと、がけ条例というのが各地で定められていて、建物を建築する上で色々と制約がでてきます。

これは、万一土砂災害が発生した場合に住人の安全を確保するためなのでしょうがないのですが、事前に建築士と役所などに十分な相談が必要です。また、対策のためのコストがかかることも多いです。


鎌倉市の擁壁

具体的には「安全な擁壁」がそのがけに造られてあれば、普通に建築できるのですが、そうでない場合は建物をがけから規定の距離以上離す必要が有ります。

がけ条例はがけの上も下も規制されるのですが、がけの上の場合はがけから距離を離す以外に、基礎を深くするとかの方法も有ります。がけの下の場合は土砂を防止する壁を作るとかですね。


ここで「安全な擁壁」というのが問題で、一般的には建築確認や開発許可・宅地造成などで完了検査が行われていて検査済証が発行されている擁壁が「安全な擁壁」として認められます。

鎌倉市の擁壁

しかしながら、ちょっと古めの既存の擁壁は建物の完了検査と同様に擁壁の完了検査がされていないケースがとても多いです。なので、一見ちゃんとした擁壁が有るように見えても、「安全な擁壁」とは認められず、その場合はがけ条例への対応をしなければなりません。

では、新たに擁壁を作れば良いという話になるのですが、擁壁の工事は多額の費用がかかる上に、そもそもその擁壁が隣地のものだったりします。

鎌倉市の擁壁

ところで、今日の本題である「がけの定義」ですが、そもそも「がけ条例」というのは俗称で建築基準法で一律に定められているわけでなく、各自治体が独自に定めている条例の中で定められています。なのでそれぞれの地域に応じた内容となっていて、がけの定義も違ってきています。

私の今まで関与したところで主な所をあげると次の様な感じです。


横浜市 は、高さ3m以上、角度30度です。

対象となるがけについて

横浜市建築基準条例
第3条 高さ3メートルを超える崖(一体性を有する1個の傾斜地で、その主要部分の勾こう配が30度を超えるものをいう。以下この条において同じ。)の下端からの水平距離が、崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合においては、崖の形状若しくは土質又は建築物の規模、構造、配置若しくは用途に応じて、安全上支障がない位置に、規則で定める規模及び構造を有する擁壁又は防土堤を設けなければならない。


東京都 は、高さ2m以上、角度30度です。

敷地ががけに面している場合
大田区のホームページより引用

東京都建築安全条例
第六条 この条にいう がけ❜❜ 高とは、 がけ❜❜ 下端を過ぎる二分の一 こう❜❜ 配の斜線をこえる部分について、 がけ❜❜ 下端よりその最高部までの高さをいう。
2 高さ二メートルを超えるがけの下端からの水平距離ががけ高の二倍以内のところに建築物を建築し、又は建築敷地を造成する場合は、高さ二メートルを超える擁壁を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 斜面のこう配が三十度以下のもの又は堅固な地盤を切つて斜面とするもの若しくは特殊な構法によるもので安全上支障がない場合
二 がけ上に建築物を建築する場合において、がけ又は既設の擁壁に構造耐力上支障がないとき。
三 がけ下に建築物を建築する場合において、その主要構造部が鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨鉄筋コンクリート造であるか、又は建築物の位置が、がけより相当の距離にあり、がけの崩壊に対して安全であるとき。


川崎市 は、高さ3m以上、角度30度です。

がけ付近の建築物
川崎市建築基準条例及び同解説

川崎市建築基準条例
第5条 高さ3メートルを超えるがけの下端から水平距離が、がけの高さの2倍以内の位置に建築
物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合(土砂災害特別警戒区域内において居室を有する
建築物を建築する場合を除く。)においては、がけの形状若しくは土質又は建築物の位置、規模
若しくは構造に応じて安全な擁壁を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当
する部分については、この限りではない。


横須賀市 は、高さ3m以上、角度30度です。

横須賀市建築基準条例


相模原市 は、高さ3m以上、角度30度です。

相模原市建築基準条例


逗子市 は、高さ3m以上、角度30度です。

神奈川県建築基準条例

がけの範囲

※横浜市、川崎市、横須賀市 、 相模原市、 鎌倉市、 厚木市、平塚市、小田原市、 秦野市 、茅ヶ崎市 及び大和市については、独自に建築基準条例を制定していいますが、それ以外の神奈川県ではこの神奈川県建築基準条例が適用となります。


埼玉県 は高さ2m以上、角度30度です。

埼玉県建築基準法施行条例
第6条 がけ高(がけの下端を過ぎる2分の1こう配の斜線をこえる部分について、がけの下端からその最高部までの高さをいう。以下この条において同じ。)2メートルをこえるがけの下端からの水平距離ががけ高の2倍以内のところに建築物を建築し、又はその敷地を造成する場合においては、高さ2メートルをこえる擁壁を設けなければならない。ただし、次の各号の1に該当する場合においては、この限りでない。
一 斜面のこう配が30度以下のがけ、堅固な地盤を切って斜面としたがけ又は特殊な構法によるがけで安全上支障がないと認められるものの場合


キリがないのでこのくらいにしておきますが、がけの定義としては、概ね高さ2m~3m、角度30度以上ですね。

がけ条例は命や財産を守るための条例です。検討している物件の近くにがけが有った場合は擁壁の有無に関わらずよく調査しましょう。

鎌倉市の擁壁

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